カテゴリ:金曜アルック座( 74 )

 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、コーエン兄弟監督作「インサイド・ルーウィン・ディヴィス 名もなき男の歌」。
 4年前の2013年12月6日に公開されました。

1961年、NYのグリニッジ・ヴィレッジ。ライブハウスで歌うフォーク・シンガーのルーウィン・デイヴィスは、最近何をやっても裏目に出てばかり。一文無しで知り合いの家を泊まり歩く日々。つい手を出した女友達からは妊娠したことを告げられ、おまけに仕方なく預かるはめになった猫にも振り回される始末。山積みになったトラブルから逃げ出すようにルーウィンはギターと猫を抱えて旅に出る。年老いた父との再会の末、とうとう歌をやめて父と同じ船員に戻ろうと決意するが、それさえもうまくいかない。旅から戻り打ち拉がれたルーウィンはまたNYのライブハウスにいた。歌い終えたルーウィンがふとステージに目をやると、そこにはやがてフォークの世界を大きく変えることになる無造作な身なりの若者の姿が...(公式サイトから抜粋)

 ディラン以前のフォーク・シンガーというと、ウディ・ガスリーやピート・シーガーくらいしか名前が出てきませんが、本作主人公のルーウィンにはモデルがおりまして、そのディランが駆け出しの頃憧れていたというデイヴ・ヴァン・ロンクなるフォーク歌手がその人。
 この人物の回顧録を下敷きに、コーエン兄弟が脚本を書き、監督したのが本作になります。

 1961年のNY、フォーク・クラブのメッカだったグリニッジ・ビレッジが舞台というのがまず興味深いですね。
 となると、ほどなくして時代の寵児になるボブ・ディランあたりにスポットをあてたくなるところですが、そのディランと入れ替わるように人々の記憶から失われていった彼の5歳年上となる先輩ミュージシャンをモデルにして主人公を創造したのが珍妙なる悲喜劇を得意とするコーエン兄弟らしいところ。
 時代の変わり目には、突然スポットライトを独り占めにするものが現れる一方で、舞台上からそっと袖に消えるものもいるということであります。
 また本作で特筆すべきは、撮影が「アメリ」を撮ったブリュノ・デルボネル。
 このセザール賞(フランスのアカデミー賞)を獲ったフランス人カメラマンが、冬のグリニッジ・ビレッジをどんな風に切り取って魅せてくれるのかは要注目です。
 

 あと、映画の設定上、演奏シーンが見どころになりそうですが、ルーウィン演じるオスカー・アイザックの歌とギターは玄人はだしの腕前。
 今注目俳優の彼、実はジュリアード音楽院卒という経歴を持っているらしいので、それも納得の業であります。

   
 いつものように、夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。

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 金曜の夜は、”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”店主独断のムービータイム!
 
 ですが、
 今夜の映画はロードショー公開時期からすると少々ずれております。
 1980年10月1日に公開(米)された「グロリア」がそれなのですが、店主は劇場で本作を観たことがありませんでした。
 念願かなったのは昨日「午前十時の映画祭」にて。
 あまりにも感激してしまって、まさに独断の緊急企画であります。
 ひょんなことからマフィアが血眼になって追う6才の男の子を預かることになるグロリアを演じるのは、当時50歳のジーナ・ローランズ。
 ウンガロのドレスに身を包み、NYの街をハイヒールでしっかと踏みしめて銃を撃ちまくる彼女のかっこよさったらこの上ありません。
 そして、ギャングの向こうを張った切符の良さだけじゃなくて、他人の息子を守ることに疲れ果てて時折みせる「私何やってるんだろう」という葛藤と弱さが、徐々に「グロリア、がんばれー」って声援を送りたくなる親近感を芽生えさせるのです。
 
 監督は実生活の伴侶でもあった、ジョン・カサヴェテス。
 いわゆるミューズであるジーナ・ローランズを主演に過去何本も撮っておりますが、妻とはいえ「グロリア」でもことさら追い込む演出が容赦ありません。
 当然ながら、本作を下敷きにしたといわれるリュック・ベッソンの「レオン」も、シャロン・ストーン主演の1999年リメイク作も、遠く及ばない大傑作。
 
 お楽しみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「グッバイガール」。
 40年前の1977年11月30日に公開されました。

 「役者の男なんてもうごめん。」
 固く心に決めた元ダンサー、ポーラでしたが、突然、彼女と娘ルーシーを捨てた男の役者仲間だという男が、二人のアパートを訪ねてくる。捨てた男が、彼、エリオットに部屋を又貸ししたのだ。互いの主張は折り合わず、やむなく共同生活をする羽目になった三人でしたが...

 元ダンサーのポーラに、マーシャ・メイソン、売れない役者エリオットに、リチャード・ドレイファス。
 二人のうまい役者をそろえて、脚本がニール・サイモンとくれば、映画の仕上がりが極上のものになるのは約束されたようなものですが、この映画のもう一人の立役者が、ポーラの一人娘ルーシー役のクィン・カミングス。
 当時10才の彼女。可愛らしいだけではなく、表現力豊かに「おとなこども」を演じて、二人のベテランと見事に渡り合っております。

 本作で、忘れがたいシーンのひとつが、エリオットとルーシーが馬車に乗ってニューヨークの街中を行く場面です。
 ポーラとエリオットの恋の行く末を不安に思ってふさぎ込むルーシーを励まそうと、馬車をレンタルしてきたエリオット。
 二人の背景には、流れるように映り過ぎていく初冬のニューヨークの街並み。
 「さあ、お馬さんの尻尾で涙をふいて。」
 子供扱いすることなくルーシーに向き合い、懸命に思いを伝えようとするエリオットの愛に溢れた美しいシーンであります。

 ちなみに、10月29日は、リチャード・ドレイファスの誕生日でした。
 「アメリカン・グラフィティ」で卒業したての高校生を演じていた彼も、69歳になっております。
 映画出演のオファーを受けてハリウッドに旅立つことを決意したエリオットにポーラは言います。
 「どうせならアカデミー賞を獲れるような俳優になってね。」

 若い頃から劇団公演でもまれ、ハリウッドの大作主演に抜擢されるまでになるリチャード・ドレイファスのキャリアは、まるまるエリオットの役どころに重なる部分も多く、彼お得意の、小柄な体型を生かしたコミカルな立ち振る舞いや軽妙なセリフ回しもばっちりはまり、本作において、史上最年少30歳の若さでアカデミー主演男優賞を現実に射止めることになりました。

 いつものように金曜夜7時からスタート。
 お楽しみに。
  
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 ”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”という趣旨で開催しております金曜夜のアルック座。

 昨日は貸切営業だったため、土曜の今夜に繰り越してお送りするのは、ジャン=マルク・ヴァレ監督作「カフェ・ド・フルール」。
 6年前の2011年11月18日公開(仏)されました。


【1969年フランス・パリ】
美容師のジャクリーヌ(ヴァネッサ・パラディ)はダウン症の息子ローラン(マラン・ゲリエ)を女手ひとつで育てるシングルマザー。普通の子と同じ学校に通わせ、普通の子と同じように習い事をさせる。それが彼女にとっての生き甲斐だった。ある日、ローランのクラスに同じダウン症の女の子ヴェラが転校してくる。お互いに惹かれあうローランとヴェラ。片時も離れたがらない二人のことを周囲は問題視する。学校側からローランを専用施設に入れるよう打診されたジャクリーヌは、普通の子と同じように育てたい一心でその提案をはねつけるのだった。

【現代モントリオール】
DJのアントワーヌ(ケヴィン・パラン)は40代。今まさに幸福な人生を謳歌していた。音楽で成功し、体は健康そのもの。両親は健在で二人の娘にも恵まれた。娘の母親とは2年前に離婚し、今は恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシュ)と熱愛中だ。一方、前妻のキャロル(エレーヌ・フローラン)はアントワーヌとの離婚から今も立ち直れずにいた。アントワーヌこそが運命の相手だと信じる彼女は、未だにアントワーヌの心変わりが信じられずにいた。夜中になると夢遊病のように徘徊しだすキャロル。娘達は母を心配し、新しい愛に浮かれているアントワーヌに反発していた。

1960年代のパリと現代のモントリオール。決して交わることのない二つの時代を生きる母と息子、ひと目で惹かれあった男と女。2つの人生が時を超えてつながる……

 いつものように夜7時くらいからゆるくスタート。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”という趣旨で開催しております金曜夜のアルック座。

 昨日は祝日でおやすみをいただいたため、土曜の今夜に繰り越してお送りするのは、クロード・ソーテ監督作「ギャルソン!」。
 34年前の1983年11月9日公開(仏)されました。


パリのとあるブラッスリー。そこでチーフ・ウェイターとして働くギャルソン、アレックス(イヴ・モンタン)は、海辺のリゾートに子供たちのための遊園地を作るのを将来の目的として、日夜はげんでいるやもめ暮らしの中年男だ。しかし、資金作りのために働いても働いても、金は思うようには集まらない。彼には資金作りの頼りでもある、グロリア(ロージー・ヴァルト)という金持ちのパトロンがいる。アレックスの心をつなぎとめようとグロリアの方は必死だが、彼の方は逃げ腰だ。ある日彼は、バッタリ昔の恋人クレール(ニコール・ガルシア)と再会、再び熱くなるアレックスだったが...。

 いつものように夜7時くらいからゆるくスタート。
 お楽しみに。
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 金曜の夜は、”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”店主独断のムービータイム!
 ですが、
 週一本ロードショー公開日に照らし合わせてセレクトしていくと、どうしても漏れてしまうお気に入りの映画が出てきます。
 というわけで、
 食材も充実してくる実りの10月は、土曜日にもはみ出しアルック座!
 「食」にフォーカスしたドキュメンタリー映画特集をお送りします。
 第四週目は、トーマス・ジャクソン監督他の「99分,世界美味めぐり」。
 1年前の2016年1月に公開(日)されました。


最高のひと皿を求めて地球中を巡りSNSで情報発信する「フーディーズ」の中でも美食家の最高峰と名高い5人が案内役を務め、ニューヨークやコペンハーゲンにある最先端の星つき人気レストランから中国の歴史が凝縮された料理まで、全29店を取材。カリスマシェフからも厚い信頼を寄せられる彼らのおかげで、本来なら取材お断りの店にも潜入し、撮影厳禁な究極の料理の数々を初めてカメラに収めることに成功した。(映画.COMより抜粋

 
 今夜は、アマデュオスさんのライブがあるので、お昼開店より夕方までムービータイムといたします。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、フィリップ・カウフマン監督「ライトスタッフ」。
 34年前の1983年10月21日に公開されました。

 
 NASAという機関が設立されたいきさつをご存じでしょうか?
 米ソ冷戦時代の最中、世界初の人工衛星打ち上げでライバル国に後塵を拝し、宇宙開発競争でさらなる後れをとることが許されなかったからなんです。
 すぐさま、マーキュリー計画をスタートさせたアメリカでしたが、有人宇宙飛行においても、ソ連に出し抜かれることになり、焦りはピークに...。

 この映画の骨子は、NASAによって選抜されたアメリカ初のアストロノーツ7人(マーキュリーセブン)が「宇宙(そら)」を目指す物語と、一流の腕をもちながらも選抜から漏れ、それでも、ロケット機で音速記録更新に挑み、「空(そら)」を目指したテストパイロット、チャック・イエーガーの物語。
 名声や世間からの注目という観点からは明暗分かれた両者でありますが、監督のフィリップ・カウフマンは、各々の「ライトスタッフ(己にしかない正しい資質)」に従い命がけで「そら」に向かった勇者として等しく讃える演出を施しております。

 サム・シェパード演じるイエーガーが、コントロールを失うまでぎりぎり機体を駆って最高高々度記録を狙う場面は、この映画が好きな人皆さんが挙げられる印象的なシーンの一つ。
 重力に抗えず地上に引き戻される寸前、彼の眼には成層圏に広がる星空が刹那に映ります。
 彼なりの流儀で、マーキュリーセブンたちと同じ場所に到達した瞬間でありました。

 ラストに流れるビル・コンティの勇ましいテーマ曲がまた、この壮大なドラマをさらなる高みへ押し上げ、3時間という長尺に対する論議も吹き飛ばしてしまうかのよう。
 宇宙開発史を観ていたはずなのに、いつの間にか、匂い立つようなダンディズムに酔っているというある意味ユニークな本作。
 男子はもちろん、男のロマンを垣間見たい女子にもおすすめ。
 カウフマン監督の最高傑作、どうぞご堪能あれ。

 いつものように、夜7時くらいからゆるくスタートです。
 お楽しみに。

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 金曜の夜は、”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”店主独断のムービータイム!
 ですが、
 週一本ロードショー公開日に照らし合わせてセレクトしていくと、どうしても漏れてしまうお気に入りの映画が出てきます。
 というわけで、
 食材も充実してくる実りの10月は、土曜の夜もアルック座!
 「食」にフォーカスしたドキュメンタリー映画特集をお送りします。
 第三週目は、「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」。
 2年前の2015年12月に公開(日)されました。

わたしたちの暮らしに欠かすことができなくなった“コーヒー"。あの赤い果実がどのようにして、目覚めの一杯になるのだろうか?生産、豆の選定、精製、焙煎、抽出……普段目にすることがないコーヒー豆たちのはるかなる冒険譚、Seed to Cup(種からカップまで)を、本作は美しい映像で描きだす。ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、そして東京。コーヒーカルチャーを牽引する5つの都市で活躍する、今、最も重要なコーヒーのプロフェッショナルたちをカメラは追う。
この世界を席巻するコーヒーカルチャーの新潮流を描いたドキュメンタリーを手がけたのは、自らもコーヒーギークであるブランドン・ローパー監督。コーヒーへの深い愛情が育んだ本作は、琥珀色の神秘の液体の奥深い世界へいざなう招待状。観た後は、コーヒーがより身近に、より愛しく思えるだろう。(アマゾンより抜粋)

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 ”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、ソフィア・コッポラ監督作「マリー・アントワネット」。
 11年前の2006年10月20日公開(米国)されました。


1769年、オーストリア皇女マリア・アントニアは、オーストリアとフランスの同盟関係強化の一策として、母マリア・テレジアの命によってフランス王室に嫁ぐことになった。しかし当初、性的機能に不都合のあったルイ16世との夫婦生活はなく、「オーストリア女」とよそ者扱いされ、「不妊症かしら」と陰口を叩かれるにつき、結婚生活にストレスを抱えた彼女は次第にパーティーやギャンブル、ドレスや靴のショッピングなど浪費に楽しみに傾斜していくことになる。兄ヨーゼフ2世の助言により、子供に恵まれたアントワネットは、田舎風の穏やかな暮らしを愛し、宮廷から逃れ、離宮で娘や親しい友人とともに過ごすようになる。やがてフランスではアメリカ独立戦争への援助をきっかけに国の財政が窮乏し始め、民衆の不満の矛先は豪奢な生活を送るマリー・アントワネットに向けられる... (ウィキペディアより抜粋)


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 金曜の夜は、”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”店主独断のムービータイム!
 ですが、
 週一本ロードショー公開日に照らし合わせてセレクトしていくと、どうしても漏れてしまうお気に入りの映画が出てきます。
 というわけで、
 食材も充実してくる実りの10月は、土曜の夜もアルック座!
 「食」にフォーカスしたドキュメンタリー映画特集をお送りします。
 第二週目は、「ノーマ、世界を変える料理」。
 2年前の2015年11月に公開(デンマーク)されました。

独創的な料理の数々で世界から注目を集めるデンマーク、コペンハーゲンの人気レストラン「NOMA(ノーマ)」のオーナーシェフ、レネ・レゼピを追ったドキュメンタリー。英レストラン誌が選出する「世界ベストレストラン50」で2010年から3年連続1位に輝いたものの、2013年に2位に転落した同店が、第1位への返り咲きを目指す4年間の記録。(映画.comより抜粋)

 レストラン業界のアカデミー賞とも評される「世界ベストレストラン50」。
 その影響力たるや、国家の観光競争力ランキングをも押し上げるといわれ、今やトップシェフたちがミシュランの格付け以上に意識する「番付」になっているとのこと。
 本作の主人公は、そのランキングにおいて、3年連続1位に輝いたレストランのカリスマシェフであります。
 レストラン業の裏側を描いたドキュメンタリーとしては、やはり、世界の料理業界に多大なるインパクトを与えたスペインの今は亡きエル・ブリに潜入した「エル・ブリの秘密」がありますが、食事を提供することを生業にしている端くれとしては、この「ノーマ」もまた、大いに面白く観ることができました。
 両作を比較すると、「エル・ブリ」がレストランのラボラトリー然とした無機質なバックヤードを執拗にカメラで追いかけていたのに対して、「ノーマ」は加えて、スターシェフ、レネの人間像を、彼自身や彼の家族、そして食材提供者等へのインタヴューから浮彫にしてみせます。
 32歳という若さで頂点に立ってしまった自分自身のことを、「嫌な男に成り下がってしまった」と断ずるレネ。
 ノーマが掲げたスカンジナビア限定の食材を使ったレシピの創造というコンセプトは、北欧の料理人たちに徐々に伝播していき、食のトレンド「ニューノルディック・キュイジーヌ」の開花に至りました。そんな北欧における華やかなる食の革命の裏側に、マケドニアにルーツをもつ一人の男の苦悩の道程があったことを本作は実直に告白しているわけであります。

 ちなみに、レネ・レぜピは、「世界ベストレストラン」1位に5度輝いたエル・ブリのOB。
 現在の北欧料理界の隆盛を予言したのは、エル・ブリ料理長、フェラン・アドリアその人であったといいます。

 いつものように夜7時くらいからゆるくスタートです。
 お楽しみに。

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