ファールプレイ
今や「ケイト・ハドソンのママ」との肩書きの方が世間的に通りの良い彼女ですが、70年代~80年代のハリウッドにおいては、その美貌とコミカルなキャラで、コメディの女王として君臨しておりました。
というわけで、今夜のアルック座は店主一押し、ゴールディの魅力が弾けまくる傑作、「ファール・プレイ」。
世界各国を歴訪中で、まもなくサンフランシスコを訪問するローマ教皇の案内役を務める予定のサンフランシス大司教が何者かに殺害された。
数日後、図書館司書のグロリアは気晴らしに行ったパーティーからの帰り道、ヒッチハイカーの若い男を拾い上げるが、その男は彼女に1本のフィルムを預け、後日映画館での再開を約束し、車を降りていった。その日、映画館には約束どおり男が現れるが、深手を負っていた男は「殺人がある。小人に気をつけろ」という言葉を残し事切れてしまう。
その日を境にグロリアは白皮症の男から執拗に付きまとわれるようになる。彼女は刑事のトニーに助けられ、捜査に乗り出す。
その結果、グロリアが拾った男は政府の秘密情報員であり、大司教殺害事件を追っていたこと、暗殺者が“小人”と呼ばれている人物であることが判明する。
やがて、2人は暗殺者の次の標的がローマ教皇であることを知り、暗殺阻止に向けて動きだす。(ウィキペディアより)
監督コリン・ヒギンズは筋金入りのヒッチコキアン(ヒッチコック狂)で有名。
本作にしても、要人暗殺というプロットは「知りすぎていた男」のオマージュであるし、そのほかにもヒッチコック作品のパロディーがあちらこちらに散りばめられていて、ヒッチコック好き、映画好きには宝探しのような楽しみ方もできてしまいます。
当然、大筋はサスペンス仕立てなのですが、この監督が一筋縄では行かないのが、そのコメディーセンス。
色魔の指揮者役に、イギリスのコメディアン、ダドリー・ムーアを引っ張り出してきたり、バージェス・メレディスとレイチェル・ロバーツにスラップステッィク調のカンフー対決をさせたりと変幻自在。
教皇が観劇するオペラが、なんとも奇妙な東洋趣味に彩られた「ミカド」(実在します...)というのも笑えます。
そして、なんといっても主演は、顔の半分も占めそうな大きなお目目のゴールディ・ホーン。
公開当時33歳。おそらく、このキュート過ぎるブロンドが恐怖に慄き悲鳴を上げる度に、逆に映画館は沸いたはず。
ヒッチコックがブロンドビューティーと恐怖心理という映画作りの枠組みにこだわったことを思うと、本作最大のパロディーは、ハリウッドを代表するコメディアンヌ、ゴールディを主役に据えたことなのかもしれません。
ちなみに、実現には至りませんでしたが、ゴールディの実娘ケイト・ハドソン主演で「ファール・プレイ」のリメイク話が一時期あったそうです。
残念。
いつものように、午後7時ごろスタートします。
お楽しみに。