店主、チューリヒ美術館展を観る。

 もう先月のことですが、新美で開催中の「チューリヒ美術館展」を観てまいりました。

 
 正直お目当ては、縦2m×横6mの特大キャンバスながら、真ん中で2分割できるため航空輸送が実現できたというモネの睡蓮の壁画でありました。
 モネの睡蓮の連作といえば、パリのオランジェリー美術館にあるのもが何といっても有名でありますが、今回チューリヒから来た睡蓮も、あの水面に引き込まれてしまうような感覚を間違いなく体感させてくれる壮大さを持ち合わせています。

 朝の開館と同時に館内に飛び込み、睡蓮目指してダッシュ。
 まずはじっくりとこの壁画と向き合う。
 睡蓮と一緒に水面でゆらゆら浮かんでるかのような「浮遊感」をしばし楽しんだ後、さして期待感もなく他の画を観始めて、これが驚いた!
 印象派からシュルレアリスムのくくりなので、ゴッホやゴーギャンやピカソの画の出展もあるにはあるのです。
 でも、過去そこそこの数の展覧会を観てきたつもりですが、彼ら大巨匠の画が霞んで観えたのは初めての体験。
 結局それほど、今回チューリヒから来た作品群は、一級の粒ぞろいでありました。

 始まりが素晴らしい。
 セガンティー二が象徴主義に転じた頃の重要な作品が2点。
 この「アルプスの画家」たる明るく牧歌的な画ももちろん好きですが、母性への回帰を象徴的に描いたこれらの幻想的な作品には、この画家の独創性が強く感じられます。
 なぜ、本展にこれが?

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 ジョヴァン二・セガンティー二「虚栄(ヴァ二タス)」
 1897年 油彩・カンヴァス 77×124cm


 考えてみれば、イタリア出身のセガンティー二が、明るい陽光に魅かれ、その画業のほとんどをスイス・アルプスで成したことを思えば、スイス最大の都市の美術館がその重要作品を所蔵していることは不思議なことではありません。
 そんないきさつで本展においては、スイス出身の画家であるホドラーやジャコメッティ、そして、スイス国家もしくはチューリヒ美術館に縁があるセガンティー二やムンク、ココシュカ、クレーたち巨匠には、それぞれひと部屋割いての展示がとられております。

 ナビ派の部屋では、思いがけずヴァロットンにも会うことができました。
 ヴァロットンらしい密会の男女のいる演劇的室内画や平面的背景から浮き上がるような肉感的な裸婦像は、あの暑い夏の日に三菱一号館で観た「ヴァロットン展」の鮮烈な印象を思い出させてくれるもの。
 ローザンヌ生まれの彼は、もちろんスイス人であります。

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 フェリックス・ヴァロットン「訪問」
 1899年 グワッシュ・厚紙 55.5×87cm

 

 大満足で展覧し終わり、会場出口付近に置かれてあった本展チラシをあらためて拾い上げ目を通すと、「圧巻!すべてが代表作」の文字。
 美術展のチラシは、大抵内容をより大きく盛る?ものですが、チューリヒに関しては看板に偽りないと思います。
 東京では来月15日まで。
 必見です。お見逃しなく。

 チラシにはこうもあります。
 「美の大国、スイス」
 確かに、本展ではこれが一番の発見でした。






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by arkku | 2014-11-11 11:11 | 雑記