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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、アルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」。
 63年前の1954年8月1日(米)に公開されました。

カメラマンのジェフは事故で足を骨折し、車椅子生活を余儀なくされる。そんな彼にできる楽しみは、カメラの望遠レンズを使って裏窓から見る隣のアパートの住人達の人間模様の観察であった。ある日、いつも口喧嘩が絶えなかった中年夫婦の妻が突如として姿を消す。セールスマンらしい夫の怪しい挙動を観察していたジェフは、数々の状況証拠から殺人事件と確信。恋人リザと共に調査に当たる。事件を認めない友人の刑事を納得させるため、確たる証拠を掴もうとする2人に危機が迫り……。(ウィキペディアより)

 店主は「裏窓」を映画館で観たことがありませんでした。
念願のスクリーン観劇は今年度の「午前十時の映画祭」にて。

 店主お気に入りの映画のなかでも、クラシックの部類に入る「裏窓」でありますが、その映画的面白さに関していえば、ヒッチコックが映画作りを志す後進に残した非の打ちどころのない教科書のような映画であります。

 主人公を自力で動くことができない制約された状況に置くことによって、舞台劇のような設定が生まれ、彼の手足代わりに奮闘する恋人に危機が迫り、彼自身にも絶体絶命の場面が訪れるといった風に、ヒッチコックの制作ノートには、次々膨らむプロットが矢継早に書かれていったことでしょう。

 ヒッチコック作品のなかでも、特にこの作品を愛してやまないのは、全編スタジオ撮影に踏み切ったが故の、ヒッチコックの管理徹底ぶりがびしびし伝わってくるからであります。当然、主人公の部屋の窓から見える隣アパートの住人達の生活描写も細かく丁寧になされています。
 たとえば、主人公が、密かに「ミスロンリーハート」と呼んでいる女性の恋愛成就に至る経過なんかも、主人公の視点を通してまるでサイレント映画の如く観客に語られるあたりはまさに見事の一語。

 それと、この映画を観るたび、ついつい目がいってしまうのが、隣アパートの棟と棟の間から覗く表通りの様子。
 さすがに観客にも、窓の外に広がる隣近所のアパート群がセット作りだということは一見で分かりますが、このわずかな隙間から見える表通りを実際車や通行人が時々横切るのがちらちら目に入ることで不思議な現実感が画面全体に醸し出されております。
 セットの後ろに控えている車の行列はこの際想像しないことにしましょう。
  

 涙が出るほど懐かしい日曜洋画劇場放映時の淀川長治さんによる「裏窓」の解説をYouTubeで発見いたしました。
 あの名調子も合わせてどうぞ。
 いつものように、夜7時くらいからスタートです。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ファール・プレイ」。
 39年前の1978年、本日7月14日(米)に公開されました。

世界各国を歴訪中で、まもなくサンフランシスコを訪問するローマ教皇の案内役を務める予定のサンフランシス大司教が何者かに殺害された。数日後、図書館司書のグロリアは気晴らしに行ったパーティーからの帰り道、ヒッチハイカーの若い男を拾い上げるが、その男は彼女に1本のフィルムを預け、後日映画館での再開を約束し、車を降りていった。その日、映画館には約束どおり男が現れるが、深手を負っていた男は「殺人がある。小人に気をつけろ」という言葉を残し事切れてしまう。その日を境にグロリアは白皮症の男から執拗に付きまとわれるようになる。彼女は刑事のトニーに助けられ、捜査に乗り出す。その結果、グロリアが拾った男は政府の秘密情報員であり、大司教殺害事件を追っていたこと、暗殺者が“小人”と呼ばれている人物であることが判明する。やがて、2人は暗殺者の次の標的がローマ教皇であることを知り、暗殺阻止に向けて動きだす。(ウィキペディアより)

 監督コリン・ヒギンズは筋金入りのヒッチコキアン(ヒッチコック狂)で有名。
 本作にしても、要人暗殺というプロットは「知りすぎていた男」のオマージュであるし、そのほかにもヒッチコック作品のパロディーがあちらこちらに散りばめられていて、映画好きには宝探しのような楽しみ方もできてしまいます。

 当然、大筋はサスペンス仕立てなのですが、この監督が一筋縄では行かないのが、そのコメディーセンス。
 色魔の指揮者役に、イギリスのコメディアン、ダドリー・ムーアを引っ張り出してきたり、バージェス・メレディスとレイチェル・ロバーツにスラップステッィク調のカンフー対決をさせたりと変幻自在。教皇が観劇するオペラが、なんとも奇妙な東洋趣味に彩られた「ミカド」(実在します...)というのも笑えます。
 
 そして、なんといっても主演は、顔の半分も占めそうな大きなお目目のあのゴールディ・ホーン。
 公開当時33歳。おそらく、このキュート過ぎるブロンドが恐怖に慄き悲鳴を上げる度に、逆に映画館は沸いたはず。
 ヒッチコックがブロンドビューティーと恐怖心理という枠組みにこだわったことを思うと、本作最大のパロディーは、ハリウッドを代表するコメディエンヌ、ゴールディを主役に据えたことなのかもしれません。

 ちなみに、実現には至りませんでしたが、ゴールディの実娘ケイト・ハドソン主演で「ファール・プレイ」のリメイク話が一時期あったそうです。
 ちょっと残念。

 いつものように、午後7時ごろスタートします。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ママはレスリング・クイーン」。
 4年前の7月3日(仏)に公開されました。

北フランスの片田舎。ムショ帰りでシングルマザーのローズは、つれない息子の気を引くために、同じスーパーで働く仲間三人を誘って老レスラーの元に入門を決意。息子が大のプロレスファンだったからでした。なぜかメキシコ女子プロチームとの対戦も決まって、彼女たちは猛特訓を開始するのですが...。

 その年の夏。
 炎天下の街歩きに限界を向かえつつあったクーラー依存症の軟弱な店主が、有楽町の映画館で涼みを兼ねつつ観た本作。
 「ママはレスリング・クイーン」
 下調べした上で映画を観るパターンであれば、真っ先に外されかねないタイトルであります。
 始まるまでフランス映画であることも知りませんでした。
 フランスでプロレス?
 ありなのです。これが。
 リングが併設されたプロレスバーまで存在するらしいので、想像以上に認知度は高そうです。
 
 アメリカの人気プロレス団体、WWEが、本作のリメイク権、配給権を早々に獲得しているそうなので、プロレスの本場ならではの絢爛豪華なハリウッド版もそのうちお目見えするとは思いますが、店主はそれでも本作を推すでしょう。
 基本はコメディ。
 でも笑いの抑制は効いていて、平凡なレジ係の女性たちをプロレスという汗臭い絵空事の世界に放り込み、対戦相手に対して、そしてそれぞれ抱える家庭問題に対して拳を握りしめ、タフさを備えていく過程がフランス映画らしく細やかに描き込まれております。

 思えば超情報過多の現代でありながら、飛び込みでロードショーを観たのは生まれて初めて。
 でも、ときに小さな冒険は、意外な展開をもたらすものです。
 この映画は思いがけず当たりでした。

 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

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