カテゴリ:金曜アルック座( 73 )

 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は先週に引き続き、アルフレッド・ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」。
 58年前の1959年8月6日(米)に公開されました。

キャプラという男と間違われて誘拐されてしまった広告マン、ロジャー・ソーンヒルは、謎の人物タウンゼントからある仕事への協力を要請される。そして、人違いが判明すると今度は泥酔運転に見せかけて殺されそうになる。窮地を脱したロジャーは、翌日、真相を確かめようと国連ビルへ赴くが、そこに現れたタウンゼントは全くの別人だった。そして、タウンゼントの背中にナイフが突き立てられ、容疑はロジャーにかかってしまう……(allcinemaより抜粋)

 先週の「裏窓」は、主人公が足を骨折しているため一歩も外に出ることのないままストーリーが進行していくという、制約された条件を逆手にとったおもしろさがありましたが、「北北西に...」の主人公の方は両極で、殺人容疑をかけられ警察に追われれる身でありながら、人違いされた男を探し出して事件の真相に迫らんと孤軍奮闘します。
 「裏窓」に少々マニアックな映画人のための教科書的側面があるとしたら、「北北西に...」は、サスペンスの王様ヒッチコックが腕によりをかけた万人が楽しめる入門編的な作品といえましょう。

 話は本筋からずれますが、本作はキネティック・タイポグラフィ(文字を動かすアニメーション)が使用された最初の映画とされています。
 オープニングタイトルにおける、文字が飛んできて次第に消えていく今なお斬新なアニメーションを考案したのは、ニューヨーク出身のグラフィックデザイナー、ソール・バス。
 映画業界をはじめ多方面で活躍された方ですが、実は京王百貨店(包装紙とショッピングバッグ)、ミノルタ、紀文食品、味の素、コーセー化粧品、前田建設工業等々、日本企業のCIも多数手がけておられます。

 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。

a0187509_14451533.jpg









 



[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、アルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」。
 63年前の1954年8月1日(米)に公開されました。

カメラマンのジェフは事故で足を骨折し、車椅子生活を余儀なくされる。そんな彼にできる楽しみは、カメラの望遠レンズを使って裏窓から見る隣のアパートの住人達の人間模様の観察であった。ある日、いつも口喧嘩が絶えなかった中年夫婦の妻が突如として姿を消す。セールスマンらしい夫の怪しい挙動を観察していたジェフは、数々の状況証拠から殺人事件と確信。恋人リザと共に調査に当たる。事件を認めない友人の刑事を納得させるため、確たる証拠を掴もうとする2人に危機が迫り……。(ウィキペディアより)

 店主は「裏窓」を映画館で観たことがありませんでした。
念願のスクリーン観劇は今年度の「午前十時の映画祭」にて。

 店主お気に入りの映画のなかでも、クラシックの部類に入る「裏窓」でありますが、その映画的面白さに関していえば、ヒッチコックが映画作りを志す後進に残した非の打ちどころのない教科書のような映画であります。

 主人公を自力で動くことができない制約された状況に置くことによって、舞台劇のような設定が生まれ、彼の手足代わりに奮闘する恋人に危機が迫り、彼自身にも絶体絶命の場面が訪れるといった風に、ヒッチコックの制作ノートには、次々膨らむプロットが矢継早に書かれていったことでしょう。

 ヒッチコック作品のなかでも、特にこの作品を愛してやまないのは、全編スタジオ撮影に踏み切ったが故の、ヒッチコックの管理徹底ぶりがびしびし伝わってくるからであります。当然、主人公の部屋の窓から見える隣アパートの住人達の生活描写も細かく丁寧になされています。
 たとえば、主人公が、密かに「ミスロンリーハート」と呼んでいる女性の恋愛成就に至る経過なんかも、主人公の視点を通してまるでサイレント映画の如く観客に語られるあたりはまさに見事の一語。

 それと、この映画を観るたび、ついつい目がいってしまうのが、隣アパートの棟と棟の間から覗く表通りの様子。
 さすがに観客にも、窓の外に広がる隣近所のアパート群がセット作りだということは一見で分かりますが、このわずかな隙間から見える表通りを実際車や通行人が時々横切るのがちらちら目に入ることで不思議な現実感が画面全体に醸し出されております。
 セットの後ろに控えている車の行列はこの際想像しないことにしましょう。
  

 涙が出るほど懐かしい日曜洋画劇場放映時の淀川長治さんによる「裏窓」の解説をYouTubeで発見いたしました。
 あの名調子も合わせてどうぞ。
 いつものように、夜7時くらいからスタートです。
 お楽しみに。

a0187509_20003386.jpg



 

[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ファール・プレイ」。
 39年前の1978年、本日7月14日(米)に公開されました。

世界各国を歴訪中で、まもなくサンフランシスコを訪問するローマ教皇の案内役を務める予定のサンフランシス大司教が何者かに殺害された。数日後、図書館司書のグロリアは気晴らしに行ったパーティーからの帰り道、ヒッチハイカーの若い男を拾い上げるが、その男は彼女に1本のフィルムを預け、後日映画館での再開を約束し、車を降りていった。その日、映画館には約束どおり男が現れるが、深手を負っていた男は「殺人がある。小人に気をつけろ」という言葉を残し事切れてしまう。その日を境にグロリアは白皮症の男から執拗に付きまとわれるようになる。彼女は刑事のトニーに助けられ、捜査に乗り出す。その結果、グロリアが拾った男は政府の秘密情報員であり、大司教殺害事件を追っていたこと、暗殺者が“小人”と呼ばれている人物であることが判明する。やがて、2人は暗殺者の次の標的がローマ教皇であることを知り、暗殺阻止に向けて動きだす。(ウィキペディアより)

 監督コリン・ヒギンズは筋金入りのヒッチコキアン(ヒッチコック狂)で有名。
 本作にしても、要人暗殺というプロットは「知りすぎていた男」のオマージュであるし、そのほかにもヒッチコック作品のパロディーがあちらこちらに散りばめられていて、映画好きには宝探しのような楽しみ方もできてしまいます。

 当然、大筋はサスペンス仕立てなのですが、この監督が一筋縄では行かないのが、そのコメディーセンス。
 色魔の指揮者役に、イギリスのコメディアン、ダドリー・ムーアを引っ張り出してきたり、バージェス・メレディスとレイチェル・ロバーツにスラップステッィク調のカンフー対決をさせたりと変幻自在。教皇が観劇するオペラが、なんとも奇妙な東洋趣味に彩られた「ミカド」(実在します...)というのも笑えます。
 
 そして、なんといっても主演は、顔の半分も占めそうな大きなお目目のあのゴールディ・ホーン。
 公開当時33歳。おそらく、このキュート過ぎるブロンドが恐怖に慄き悲鳴を上げる度に、逆に映画館は沸いたはず。
 ヒッチコックがブロンドビューティーと恐怖心理という枠組みにこだわったことを思うと、本作最大のパロディーは、ハリウッドを代表するコメディエンヌ、ゴールディを主役に据えたことなのかもしれません。

 ちなみに、実現には至りませんでしたが、ゴールディの実娘ケイト・ハドソン主演で「ファール・プレイ」のリメイク話が一時期あったそうです。
 ちょっと残念。

 いつものように、午後7時ごろスタートします。
 お楽しみに。

a0187509_16230671.jpg








 
[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ママはレスリング・クイーン」。
 4年前の7月3日(仏)に公開されました。

北フランスの片田舎。ムショ帰りでシングルマザーのローズは、つれない息子の気を引くために、同じスーパーで働く仲間三人を誘って老レスラーの元に入門を決意。息子が大のプロレスファンだったからでした。なぜかメキシコ女子プロチームとの対戦も決まって、彼女たちは猛特訓を開始するのですが...。

 その年の夏。
 炎天下の街歩きに限界を向かえつつあったクーラー依存症の軟弱な店主が、有楽町の映画館で涼みを兼ねつつ観た本作。
 「ママはレスリング・クイーン」
 下調べした上で映画を観るパターンであれば、真っ先に外されかねないタイトルであります。
 始まるまでフランス映画であることも知りませんでした。
 フランスでプロレス?
 ありなのです。これが。
 リングが併設されたプロレスバーまで存在するらしいので、想像以上に認知度は高そうです。
 
 アメリカの人気プロレス団体、WWEが、本作のリメイク権、配給権を早々に獲得しているそうなので、プロレスの本場ならではの絢爛豪華なハリウッド版もそのうちお目見えするとは思いますが、店主はそれでも本作を推すでしょう。
 基本はコメディ。
 でも笑いの抑制は効いていて、平凡なレジ係の女性たちをプロレスという汗臭い絵空事の世界に放り込み、対戦相手に対して、そしてそれぞれ抱える家庭問題に対して拳を握りしめ、タフさを備えていく過程がフランス映画らしく細やかに描き込まれております。

 思えば超情報過多の現代でありながら、飛び込みでロードショーを観たのは生まれて初めて。
 でも、ときに小さな冒険は、意外な展開をもたらすものです。
 この映画は思いがけず当たりでした。

 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

a0187509_16222622.jpg





[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ブレードランナー」。
 35年前の6月25日に公開されました。

2019年、地球環境の悪化により人類の大半は宇宙に移住し、地球に残った人々は人口過密の高層ビル群が立ち並ぶ都市部での生活を強いられていた。宇宙開拓の前線では遺伝子工学により開発された「レプリカント」と呼ばれる人造人間が、奴隷として過酷な作業に従事していた。レプリカントは、外見上は本物の人間と全く見分けがつかないが、過去の人生経験が無いために「感情移入」する能力が欠如していた。ところが製造から数年経てば彼らにも感情が芽生え、人間に反旗を翻す事態にまで発展した。しばしば反乱を起こし人間社会に紛れ込む彼等を「処刑」するために結成されたのが、専任捜査官“ブレードランナー”である。

タイレル社が開発した最新レプリカント"ネクサス6型"の男女6名が人間を殺害し脱走、シャトルを奪い、密かに地球に帰還し潜伏していた。人間そっくりなレプリカントを処刑するという自らの職に疑問を抱き、ブレードランナーをリタイアしていたデッカードだったが、その優秀な能力ゆえに元上司ブライアントから現場復帰を強要される。捜査のためにレプリカントの開発者であるタイレル博士に面会に行くが、タイレルの秘書レイチェルの謎めいた魅力に惹かれていく。

レプリカントを狩ってゆくデッカードだが、やがて最後に残った脱走グループのリーダーであるバッティとの対決の中で、彼らが地球に来た真の目的を知る事になる。(ウィキペディアより)


 舞台は2019年のロサンゼルス。
 ただ、ここには、アメリカ西海岸の象徴、明るい太陽と青空はどこにもありません。こんなところには住みたくないなという嫌悪感すら抱かせる、酸性雨の降りしきる環境汚染都市に成り果てたLA。
 ハリソン・フォード演じる主人公がスシバーで注文するくだりをはじめ、看板や会話に小道具として日本語が多用されているのも、近未来のカオス的都市像を形成するのに一役買っております。監督リドリー・スコットが来日した際訪れた新宿歌舞伎町が発想元といわれておりますが、最近ネット上で話題になった一枚の写真に、あらためてその裏がとれたような気が。
 バーチャルアイドル、冷戦時代を思わせるような不穏な電光ニュース、そして妖しく光る看板の重なり...。
 まさに、本作に登場するLAを彩る猥雑なアートデイレクションそのままで。

 
 本作では、「機械」対「人間」というサイバーパンク作品にありがちな図式に心躍らすというよりは、感情を持ちえてしまったが故に悩む「機械」の悲哀の方に心が揺さぶられます。
 80年代を代表するカルトムービー中のカルトムービーをどうぞご堪能あれ。

 いつものように、午後7時くらいからスタートいたします。

 お楽しみに。
 

a0187509_16141532.jpg
 
a0187509_19021315.jpg





[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「チャイナタウン」。
 43年前の6月20日(米)に公開されました。


ロサンゼルスの私立探偵ジェイク・ギテスは「モーレイ夫人」と名乗る女性に依頼され、市の水道局幹部であるホリス・モーレイの身辺調査をすることになった。

尾行の結果、ジェイクはホリスが若いブロンドの女性と逢っている様子を写真に撮影する。だがホリスのスキャンダルはすぐに新聞にすっぱ抜かれ、更にホリス自身も何者かに殺害されてしまった。しかも最初にモーレイ夫人を名乗って調査依頼してきた女は別人と判明する。

ジェイクは独自に事件の真相に迫ろうとするが、そこで見たのはロサンゼルスの水道利権を巡る巨大な陰謀と、ホリスの妻エヴリン、そして彼女の父である影の有力者ノア・クロスを中心とした人々の、愛憎半ばする異常な過去だった。(ウィキペディアより)


 いつものように夜7時くらいからスタート。

 お楽しみに。

a0187509_16244726.jpg








[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ブルース・ブラザース」。
 37年前の本日6月16日に公開されました。


シカゴ郊外の刑務所を出所したジェイクと、彼を迎えに来た弟のエルウッドは、兄弟を育ててくれた孤児院に出所の挨拶に行くが、そこで、孤児院が5000ドルの税金を払えないため立ち退きの瀬戸際にあることを知る。孤児院の危機を救うため援助を申し出る二人だが、犯罪で得た汚れた金は要らないと逆に院長に追い払われてしまう。なんとか孤児院を救いたい二人はかつて孤児院で世話を焼いてくれたカーティスに相談すると、ジェームス牧師の移動礼拝に出席することを勧められる。気乗りのしないジェイクをエルウッドが礼拝に無理矢理連れてくると、ジェームス牧師の説話を聞いていたジェイクは突然神の啓示を受ける。「汝 光を見たか?」「そうだ!バンドだ!」こうしてふたりは、昔のバンド仲間を探し出しあの手この手でバンドに引き入れ、音楽で金を稼いで孤児院を救う「聖なる任務」に立ち上がったのだが、行く手にはシカゴ中の警官、マッチョなカントリー・ミュージック・バンド、ネオナチ、そしてジェイクの命を付けねらう謎の女が待ち受ける。(ウィキペディアより抜粋)



 言わずと知れた、ブルース、R&B、ソウルといったアメリカ黒人ミュージックへのオマージュに満ちたミュージカル・スラップステックコメディの傑作。
 牧師役にジェームス・ブラウン、バンドメンバーの妻にアレサ・フランクリン、楽器店店主にレイ・チャールズ、聖歌隊メンバーにチャカ・カーンといったR&Bの大御所たちの豪華な配役も話題になりましたが、ジェイクをつけ狙う「あぶない」女にレイア姫ことキャリー・フィッシャー(スター・ウォーズ最新作で30年振りにレイア姫を演じてくれましたが、残念ながら1月60歳で死去。)、納税課職員といったチョイ役にスティーブン・スピルバーグまで担ぎ出しているんですから、キャスティングひとつとっても見どころ満載の本作であります。

 監督のジョン・ランディスは、あのマイケル・ジャクソンの「スリラー」を撮ったことでも知られていますが、後年のインタビューで、「ブルース・ブラザース」に対してある後悔を漏らしております。

 黒人音楽に彩られた本気のミュージカルを撮りたかった彼は、元来コメディアンの主役二人、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが残念ながら本格的に踊れなかったことにある種の欲求不満を抱いていたらしいのです。

 そういう意味において、マイケルからのオファーには狂喜したでしょうね。なにせ稀代のダンスパフォーマーと組めるチャンスが巡ってきたわけですから。

 おかげで世界一有名なミュージカル・ナンバー?に仕上がったという次第です。


 とはいえ、ジョンとダンのデコボココンビがジタバタ踊るのも、これはこれでなかなか味わい深いと思います。
 「身軽なデブ」の本領発揮、ジョンの驚きの連続バク転だってあるし。
 そして、なんといっても、二人のとぼけた「あうん」の演技は代われるものがない得難いもの。
 圧巻のダンスシーンは外せても、これはまさに外せない、本作の根幹であります。

 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。


a0187509_16110698.jpg






[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「スモーク」。
 22年前の本日6月9日に公開されました。


オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)はブルックリンの街角で煙草屋を営み、毎日欠かさず店の前の街並を写真に撮ることを趣味にしていた。その店の常連で作家のポール・ベンジャミン(ウィリアム・ハート)は数年前に妻を強盗の流れ弾で失って以来、仕事が手につかない。ぼんやりとして車にはねられそうになったポールはラシードと名乗る少年(ハロルド・ペリノー・ジュニア)に助けられ、彼は感謝の印に風来坊の彼を家に泊めてやる。少年は数日後に出ていくが、数日後その叔母が訪ねて来る。彼の本名はトーマスで、行方不明で心配しているという。そのトーマスは子供の頃生き別れになった父サイラス(フォレスト・ウィテカー)のガソリン・スタンドに行き、素性を隠して掃除のバイトを始める。ポールを再訪したトーマスは、実は強盗現場で落ちていた六千ドルを拾ったことでギャングに追われていると明かす。ポールはトーマスを家に置き、オーギーに頼んで店で雇ってもらう。トーマスはオーギーの密輸キューバ葉巻を台無しにしてしまうが、例の六千ドルで弁償するというのでオーギーは許す。オーギーの所には昔の恋人ルビー(ストッカード・チャニング)が来ていた。実は二人には娘(アシュレイ・ジャッド)がいて、18歳で麻薬に溺れていた。オーギーは娘を麻薬更生施設に入れる資金にしろと、例の弁償の金をそっくりルビーに渡してしまう。ある晩、トーマスに盗んだ金を持ち逃げされたギャングがポールの家を襲う。様子を察したトーマスは姿を消す。負傷したポールとオーギーは息子同然のトーマスの安否を気づかうが、彼は電話で無事を告げてくる。二人はサイラスの所でバイト中のトーマスを訪問し、彼に親子の名乗りをさせる...。(KINENOTEより抜粋)


 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。

a0187509_21270265.jpg









[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「愛と哀しみのボレロ」。
 36年前の5月27日に公開されました。


 ...両親の才能を引きついでボリショイ・バレエ団の名ダンサーに成長したセルゲイ。その後、彼は西側に亡命...
 ...ナチ収容所送りの途中、両親の機転である駅に置き去りにされた乳飲み子は、その土地の牧師のもとで育てられ、ダビッドと名づけられ成長していた。彼はパリで作家として成功...
 ...私生児として祖父母に育てられたエディットは、パリに出て貧乏暮しをしながらショーガールになり、やがてTVのニュース・キャスターに...
 ...エディットの実の父であるカールは、ヒトラーの前で演奏し認められ、パリで軍楽隊長をしていた過去を持つ。戦後、指揮者として成功した彼は、ニューヨークで米初演を果たすが、ユダヤ人によるチケット買い占めで、観客わずか二人という屈辱を味わう...
 ...人気ジャズミュージシャン、ジャック・グレンは、ヨーロッパ戦線に従軍後、アメリカに戻って妻で歌手でもあるスーザンを交通事故で失う。娘のサラは、親の血を受けて同じく歌手として成功...
 そして、1981年、パリ。トロカデロ広場には、多くの観客がつめかけ、今からはじまるユニセフ・チャリティ・コンサートを息をのんで待ちわびていた。TVの進行役はエディット。踊り手はセルゲイ。指揮者はカール。歌うのはサラ、そしてダビッドの息子であるパトリック。運命の糸にあやつられるようにこれらの芸術家たちが、今、一同に会して、一つの曲ラヴェルの「ボレロ」のもとに結集されるのだった。(KINENOTEより抜粋)


 禍福は糾える縄の如しとはよくいったもの。
 1930年代の戦前から、戦中、そして現在と、半世紀にも及ぶ時間軸。
 パリ、ニューヨーク、モスクワ、ベルリンを行ったり来たりするワールドワイドな舞台の設定。
 登場人物たちは、2世代4家族の人々。しかも、父親と息子、あるいは、母親と娘を、一人の俳優が二役演じるというややこしいようなややこしくないような配役...。
 ともかく、観客は、185分という長尺の本作を観るにあたって、複雑な筋立ての解読作業をずっと強いられるわけであります。
 

 でもでも、労苦は報われる。
 ジョルジュ・ドン演じるセルゲイが「ボレロ」を踊る、あのとっておきのクライマックスが待っていますから。
 最初から最後まで変わることのない同じリズム。メロディも、A、B、2つのパターンだけのラヴェル作曲「ボレロ」。フルート単独で始まり、メロディが繰り返されるたびに楽器構成の厚みが増していきます。そして、音量が最高潮に達したところで終焉。
 監督クロード・ルルーシュの演出の冴えはここに極まり、映画に入れ代わり立ち代わり登場してきた4家族の人々を、この「ボレロ」の演者側と観客側に配し、繰り返されるメロディに合わせて彼らをカットバックしていくわけです。
 この13分に及ぶ「ボレロ」の曲想そのものが、本作に描かれた4つの家族史を束ねて象徴しているかのように。

 
 「人生には2つか3つの物語しかない。しかし、それは何度も繰り返されるのだ。その度ごとに、初めての時のような残酷さで。」
 ウィラ・キャザー(米小説家)のこの言葉を本作冒頭で紹介しているルルーシュの意図が、ここにきて解けるわけです。


 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

a0187509_14155939.jpg




[PR]
 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「グランドフィナーレ」。
 2年前の2015年5月20日に公開(伊)されました。

 さてこの映画ですが、フェリーニの継承者、21世紀の映像の魔術師といった最大級の賛辞を集める、イタリアの奇才パオロ・ソレンティーノの最新作であり、今年83歳となる名優中の名優、マイケル・ケインの最新主演作でもあります。 
 ところで、一糸まとわぬダイナマイトボディを前にして、唖然たる面持の爺さん二人。
 アルック座らしからぬ、なんとも悩ましい宣伝ポスターでありますが、ご安心あれ。(日本版ポスターは、女性客を意識したせいでしょうか、ぐっと格調高くデザインされたものに変更されております。)
 これは、本作のテーマ(原題:YOUTH = 若さ)を意識させる象徴的、かつ笑いどころとなるシークエンスからのカットなのです。
 
 店主はこの春Bunkamuraで観たのですが、ソレンティーノ監督の綾なす圧倒的な映像美には、評判通りの力量がほとばしっておりました。
 失われてしまった時間に対する老人の悔恨をセンチメンタルに過ぎるとする批評家もいるようでありますが、非日常的世界に身を委ねさせてくれるのが、映画芸術のもつ醍醐味の一端であるとしたら、アルプスの美しくも厳しい自然に抱かれた高級リゾートホテルに招き入れられた錯覚にしばし浸れる本品は間違いなく第一級です。
 スパで保養する老いた人々の群像ですら輝かんばかりの美しさを放っているのですから。
 もちろん監督の創作動機も明解で、引退した老境の音楽家を演じるマイケル・ケインの枯れた名演技も相まって、年を重ねることで得るもの、そして失うものを静かに啓示してくれる物語でもあります。

 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。

a0187509_03180447.jpg
 





[PR]