カテゴリ:金曜アルック座( 73 )

 金曜の夜は、”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”店主独断のムービータイム!
 ですが、
 週一本ロードショー公開日に照らし合わせてセレクトしていくと、どうしても漏れてしまうお気に入りの映画が出てきます。
 というわけで、
 食材も充実してくる実りの10月は、土曜の夜もアルック座!
 「食」にフォーカスしたドキュメンタリー映画特集をお送りします。
 第一週目は、グルメ・ドキュメントのはしり、「エル・ブリの秘密」。
 2011年7月27日に公開されました。

 2011年に惜しまれつつ閉店したスペインの三ツ星レストラン「エル・ブリ」の裏側に迫ったドキュメンタリー。1年のうち半年しか営業せず、お客は1日50人のみという世界一予約の取れないレストラン「エル・ブリ」のバックヤードに密着する。(DMM.comより)

 エル・ブリの存在を知ったのは、何かの雑誌記事だったと思います。
 裏憶えですが、エスプーマを利用した泡状ムースと貝殻をあしらったロマンティックな一皿が誌面を大きく飾っておりました。
 ガスを使ってあらゆる食材をあわあわにできるこのエスプーマ調理法にも驚きましたが、お皿と一緒にサーブされるというiPodにはぶっ飛びました。ゲストはイヤホンから流れる波の音に海の記憶を呼び起されつつ料理を食するという趣向。
 アイディアの使いまわしは行わないポリシーですから、この「iPod添え」もこれっきりだったのでしょうが、以来このレストランの妖しさ?はしっかり脳裏に刻み込まれ、2009年に撮影された本作で惜しげもなく明かされる「世界一のレストランの秘密」には、終始口あんぐり。
 100年後の食のトレンドを覗いているようなショック症状に見舞われたといったら大げさでしょうか。

 ここに、エル・ブリにまつわる数字を並べてみました。

 
 15
 - 一日のテーブル数
 50 - 一日のゲスト数
 160 - 営業日数
 8,000 - 年間のゲスト数
 7-20,000 - エル・ブリで食事をするためにゲストが旅するキロメートル数
 70 - ハイシーズンに働くスタッフ数
 40 - シェフの数
 26 - ホールで働く人の数
 8 - ウェイターひとり当たりの一日の歩行キロメートル数
 11,200 - 年間のスタッフの賄い料理の数
 12,000 - 海側の土地の平方メートル数
 80 - テラスの平方メートル数
 350 - 厨房のスペースの平方メートル数
 250 - ホールのスペースの平方メートル数
 200€ - 2008年時、一回の食事にかかる費用
 230€ - 2008年時、ドリンクを含むひとり当たりの費用(平均)
 170-200 - メニューにある素材の数
 1,500 - 一日にサーブされるカクテル、スナック、タパス料理、アヴァン・デセール、デザート、モーフィングの数
 700 - ゲストひとりの一皿ごとの料理のグラム数
 5,600 - 年間消費される食料の総量となるキログラム数
 200 - 毎晩厨房で使用されるキッチンクロスとエプロンの数
 1,000 - 毎晩使用される食器の数
 10,000 - 年間開けられるボトル数
 55 - ガラス製品の種類数
 750 - レストランで一日に使いまわすグラスの数
 1,666 - レストランにあるワイン数
 40 - ヴィンテージの種類の数
 216 - ぶどうの種類の数
 325 - ワインリストにあるDOCの種類の数
 2 - ワイン熟成貯蔵庫の数
 4,000 - 年間の創作のために費やす時間数 (”エル・ブリの一日”より)


 興味深いもの、そうでもないもの、いろいろですが、このレストランの特異性は、ホールの1.4倍もの厨房の広さにも現れていると思います。
 到着したゲストが真っ先に案内されるのは、厨房!
 レストランの常識的には隠したがるスペースをエル・ブリでは御開帳していたというわけです。
 料理長フェラン・アドリアとの握手やらで歓待されたゲストには、食後に再び厨房でのお別れのセレモニーが待っています。
 ハイテックで整然なる厨房を舞台にしたスタッフたちの統率のとれた動きは、それ自体見ものでしょうし、めくるめくアート作品のようなコース料理への期待感はここで否応なしに高まるでしょうね。

 いつものように午後7時くらいからゆるくスタート!
 お楽しみに。

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 金曜の夜は、”好きな映画をロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”店主独断のムービータイム!
 というわけで、今夜のアルック座は、「太陽を盗んだ男」。
 38年前の1979年10月6日公開されました。

 当時31才の沢田研二演じるさえない中学の理科教師が、手造り原爆を盾に政府を脅迫し、「巨人戦のナイター完全中継」や「ローリングストーンズの来日許可」を要求するという奇想天外なストーリー。
 故菅原文太が、脅迫犯逮捕に執念を燃やす刑事を演じています。

 本作が公開された1979年時点、ストーンズは、メンバーの過去のドラック歴から外務省のブラックリストにリストアップされていて、音楽的に最も充実した時期にあった1973年の日本公演も、チケット発売までされながら結局は中止。
 ストーンズ来日は夢のまた夢と思われておりました。
 それでも時の流れこそがこの難題を氷解させるに至り、悲願の1990年初来日から数えて、6度の来日公演を果たしているストーンズ。
 彼らの来日の報を聞く度に、店主はこの映画のことを懐かしく思い出してしまいます。
 仮に、この映画がリメイクされるとしたら、原爆を手中にした脅迫犯は現代社会のどんなことに理不尽を感じ、何を要求するのでしょうか?
 

 逮捕という不測の事態に備えたサブチームまで用意して敢行した国会議事堂や皇居でのゲリラロケをはじめ、溢れる着想と情熱を傾け、「低予算」の「日本製」でも、これだけおもしろい映画が撮れるということを見事に証明してみせた、ゴジこと長谷川和彦監督渾身の大傑作「太陽を盗んだ男」、どうぞご堪能あれ。

 いつものように、夜7時くらいからゆるくスタートします。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」。
 33年前の1984年9月29日公開(米国)されました。

 
ハンガリー出身で、ニューヨークでギャンブラーとして生計を立てているウィリーの元に、クリーブランドに住む叔母から電話があり、彼女が入院する10日間、ブタペストから来た従妹のエヴァを預かることになる。風変わりなエヴァと無愛想なウィリーのあいだではなかなか会話がかみ合わないが、日が経つにつれ打ち解けていく。ウィリーの相棒エディも交えて、それなりに楽しい日々が続いたが、クリーブランドへ向かわねばならないエヴァ。1年後、エディといかさまポーカーで儲けたウィリーは、共に車でエヴァに会いに行く。恋人もいてホットドッグ店でアルバイトをしているエヴァは二人との再会を喜ぶ。そこで数日を過ごすが、エディーとウィリーは雪に閉ざされたクリーブランドに退屈し、突如としてフロリダへ行くことを思いつく。そして叔母の反対を押し切って、エヴァを連れてフロリダへ向かった...(ウィキペディアより抜粋)


 喜怒哀楽を顔に出さない登場人物たち。逆にいうと、彼らは表情を崩すような状況にほとんど置かれることなく、ニューヨーク、クリ―ブランド、フロリダと舞台を移し物語は進行していくわけです。
 そんな映画のどこがおもしろいのかといわれそうですが、これがそこはかとなくおもしろい。
 
 印象に残る一場面があります。
 男女3人が、冬のクリ―ブランドで退屈しのぎに、エリー湖を観に行くシーンです。
 結局、吹雪による視界不良で、湖どころか認識できる景色は皆無。
 ただただ白く広がる空間を前に、3人は立ち尽くすことしかできなくて...
 
 とことんついていない彼らなのに、その点鈍感というか、不運を置き去りにできる才があるというか。
 観客はそんな彼らの超マイペース振りに、軽い安堵感を覚えつつ、ついくすりと笑ってしまうのです。

 条理極まりなくもごくごく日常的な会話、全編モノクロの余計なものを映しこまない演出、出演者はチョイ役(たとえば、トム・ウェイツとか)含めて、みんな原則的に「デッドパン(無表情)」。
 こんな約束ごとに則って撮られたからこそ成立した悲しきコメディー。
 才人、ジム・ジャームッシュ監督、1984年の出世作をどうぞご堪能あれ。

 いつものように夜7時スタートです。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「めがね」。
 10年前の2007年本日9月22日に公開されました。

 

人生の一瞬に立ち止まり、たそがれたい。何をするでもなく、どこへ行くでもない。南の海辺に、ひとりプロペラ機から下り立った女・タエコ。その小さな島は不思議なことだらけ。見たこともない不思議な「メルシー体操」なるものに興じる人々、いつもぶらぶらしている高校教師ハルナ、笑顔で皆にカキ氷をふるまうサクラ、飄々と日々の仕事をこなす民宿ハマダの主人・ユージ…。マイペースで奇妙な人々に振り回され、一度はハマダを出ようとするが、自分なりに「たそがれる」術を身につけていくタエコ。そして、タエコを追ってきたヨモギを含めた5人の間には奇妙な連帯感が生まれていく。しかし、その時間は永遠には続かない……。(ウィキペディアより)


 「かもめ食堂」に続いて荻上監督が撮った劇場4作目。
 登場人物のキャリアは語られることはなく、結果的に素性の知れない奇妙な人物ばっかり集まってきてしまうのは前作同様で、例によって劇的展開も皆無。
 ただ、北欧の街から奄美の島に舞台を移したせいでしょうか、全編に流れる「ゆるゆる」加減はこの上ないくらいパワーアップしております。
 鑑賞者は、もはやストーリーを追いかけることを放棄せざるを得なくなり、「めがね」という映像の海原にクラゲの如くゆらゆらと感覚を委ねるしか術がなくなってしまうわけです。
 本作の「ゆるゆる」感はそれくらいの破壊力を秘めていると思います。
 必然的に、クラゲ式で観るのが一番心地よいし、このヒーリングムービー?の醍醐味が味わえるのでは。

 極力説明を省いた演出を施す監督さんですが、登場する主人公タエコの心情変化はうまい小道具使いで語られています。
 それは、タエコが島まで引きずってきた重そうなスーツケースと、おそらくすっかり彼女を疲れさせてしまった日常のすべてを見せていた眼鏡。
 この小道具たちの顛末にごぜひ注目を。

 登場人物たちのビールを呑むシーンがやたら多い映画でもあります。
 それも、一貫して瓶ビールをジョッキで。
 彼らが宿やビーチであおるビールはなんともおいしそう。
 当店、地域や製法でビヤグラを使い分けておりますが、店主がこだわるサッポロ赤星だけは小ぶりのジョッキで提供しております。
 この映画の残像がそうさせているのでしょうね。

 いつものように午後7時くらいからゆるくスタート。
 おたのしみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ストックホルムでワルツを」。
 4年前の2013年9月13日(スウェーデン)に公開されました。

スウェーデンの首都ストックホルムから300km離れた小さな田舎町に両親と5歳の娘と暮らしているシングルマザーのモニカは、電話交換手の仕事をしながら、時折深夜バスでストックホルムまで出向き、ジャズクラブで歌手としてステージに立つ忙しい日々を送っていた。いつか歌手として成功し、この町を出て娘と2人で何不自由なく暮らせる日が来ることを夢見ているモニカに、厳格な父は“母親失格”のレッテルを貼り歌の仕事に反対をしていた。そんな時、モニカの歌を聞いた評論家の誘いからニューヨークで歌うチャンスが与えられる。一世一代のチャンスに、意気揚々とジャズの聖地に乗り込むモニカだが、ライブは無残な結果となり、さらには憧れの歌手から“自分らしい歌を歌いなさい”と厳しい批判を受ける。ニューヨークでの評判はモニカの住む町まで届き、父は皮肉を浴びせ、歌をやめ母親業に専念するよう言い放つ。落ち込むモニカだったが、ある日バンドのベースを務めるストゥーレと、母国語(スウェーデン語)でジャズを歌うことを思いつく。誰もが予想していなかったこの歌声は、次第にストックホルムの人々の心に響くようになり、モニカは夢のステージへの階段を上がり始めた―。(Filmarksより)

 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。

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 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。










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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ロスト・イン・トランスレーション」。
 14年前の2003年9月12日に公開されました。

ハリウッド俳優のボブは、ウィスキーのCM撮影のために来日する。慣れない国での孤独感を感じるボブは、東京のホテルに到着した翌朝、エレベーターで若いアメリカ人女性、シャーロットと乗り合わせた。彼女はフォトグラファーの夫の仕事に同行してきた新妻で、やはり孤独と不安に苛まれていた。やがて2人は、ホテルのバー・ラウンジで初めて言葉を交わし、親しくなる。シャーロットの友人のパーティーに誘われ、夜の街へと出掛けたボブは、カタコトの英語を話す若者たちとの会話を楽しみ、カラオケでマイクを握るシャーロットに魅入る。2人は東京に来て初めて開放的な気分を感じた。ボブはCM撮影が終了したが、急遽舞い込んだテレビ出演の話を承諾し、滞在を延ばすことになった。ボブは、シャーロットとランチを共にし、ホテルの部屋で古い映画を観て時を過ごし、絆を深めていった。だがボブの帰国の時が訪れる...。(KINENOTOより抜粋)

 ウィキペディアの請売りですが、ソフィア・コッポラ監督による本作のテーマは「アノミー」だといいます。
 ウィキのリンクで、「アノミー」に跳ぶと、「アノミー(anomie)は、社会の規範が弛緩・崩壊することなどによる、無規範状態や無規則状態を示す言葉。フランスの社会学者エミール・デュルケームが社会学的概念として最初に用いたことで知られる。」とのこと。
 さらなる???のぬかるみに足をとられそうになったので、慌てて、不勉強人にも解かりやすいことばで論じていそうな方のブログにて「アノミー」をにわか勉強したところ、店主的には「アノミー=人が生きてる限り、本来生じる何かとのつながりや目的が失われた状態」というところに着地いたしました。

 さて、本作中のアメリカ人男女は、二人とも「アノミー状態」で、新宿のホテルで遭遇します。森進一の「新宿・みなと町」?ではありませんが、自ら望んだわけでもなく、なんとなく流れ着いたというわけですね。
 妖しげな賑々しさに彩られた新宿という街にあって、二人が宿泊しているパークハイアット東京は、この上なく快適なコクーンのようであります。
 互いの「アノミー」を悟った二人は、抱えた喪失感を埋めるように、ホテルを出て東京という異国の大都会の冒険にくり出します。
 セレブ御用達の「コクーン」を抜け出すことが、二人に連帯感なりある種の共犯意識を芽生えさせるきっかけになるところがおもしろいのです。
 つまりは、「アノミー」から抜け出す一歩になったわけですね。

 主演の二人は公開当時、ビル・マーレイ53歳、スカーレット・ヨハンソン19歳。
 変化のない結婚生活に萎えてしまった中年俳優と、輝く美しさを湛えながら未来に不安を抱く新妻。
 説得力のあるキャスティングは、「ロスト・イン・トランスレーション」の成功の肝といえましょう。
 店主自身何度も身を置いたはずの馴染みの新宿の雑踏の中を、スカーレット・ヨハンソンが消え入りそうになりながら歩くシーン。
 ただそれだけなのですが、本作全体に流れる漂流感と相まって、何ともいえず心に沁みる映像美があります。

 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

 
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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「フランシス・ハ」。
 5年前2012年の本日9月1日に公開されました。
 
 本作のタイトルを見て、「店主のキーボード操作ミス?」と思ってしまう人も多いと思います。
 かく言う店主自身も、雑誌のレビューで最初に目にした時はミスプリントだと早合点してしまいました。
 原題はずばり"Frances Ha"ですから、英語圏の人たちにとっても、へんちくりんなタイトルに違いはありません。

 
ニューヨークに暮らすフランシスは、プロのダンサーを目指している。彼女と同居していた親友のソフィーは、パッチとの婚約を機に、フランシスを置いて引っ越して行く。残されたフランシスは、故郷のサクラメントで両親と過ごすクリスマス、パリへの短期旅行を経て、ニューヨークに戻ってくる。自分の人生と向き合った彼女は、振付師として、人生の新たな一歩を踏み出す。


 去年ボウイの訃報を聞いたとき、彼の"Modern Love"がドはまりしているこの映画ことが思い起こされました。
 日本人的に直訳すると、「現代的な愛」。
 言わずと知れた、83年に発売されたボウイいわく「ホットケーキみたいに売れに売れた」アルバム"Let's Dance"からのシングルナンバーであります。
 ここで、ハタと考えました。 
 確かにこの曲が流れるなか、フランシスがNYの街を激走するシーンはこの上なく小気味よい。
 ただ、インディペンデント映画界のミューズ、グレタ・ガーウィグ主演・兼脚本の本作であるならば、ノリのよさだけでもってヒットソングを使ったりはしないだろう…。
 ネット検索してみたところ、はたして様々に同曲の訳詞に挑んでいる方々がいらっしゃる。
 一番しっくりきたものを店主なりに意訳してみると、こんな感じでしょうか。


新聞配達の少年を呼び止める
そんな事をしても物事は変わりはしない
風に吹かれて立ちつくすわたし
でも決してバイバイって手を振ったりしない

やってやる、わたしはやってやる

生きてる証しなんかない
人を魅了する力ならあるけど
雨に打たれて横たわるわたし
でも決してバイバイって手を振ったりしない

やってやる、わたしはやってやる

もうモダンラブに入れ込んだりしない

モダンラヴ、ときには寄り添い歩き 
モダンラブ、ときには目の前を通り過ぎていく
モダンラブ、いつも通りに教会へと連れてゆく

いつも通りに教会へ、わたしを怖れさせて
いつも通りに教会へ、わたしを高揚させて
いつも通りに教会へ、神と人との契約を押し付ける

神と人、懺悔もいらない
神と人、信仰もいらない
神と人、モダンラヴなんか信じちゃいけない


 
 驚きです。
 ボウイは、ヒット請負人ナイル・ロジャースがお膳立てした売れ線の音に、彼らしくこんな難解なことばをのせていたのであります。
 少なくとも、タイトルから直感しがちな軽薄なポップ・チューンではないのは明らか。
 では、「モダンラブ」とは何でしょう。
 どうやら、現代社会における信仰に代表されるような、盲目的規範全般を指していようであります。

 モダンダンサー志望のフランシス。
 それが叶わぬ夢になりそうなのは、彼女のぶっきっちょさ加減からしたら誰が見ても明らか。
 歩き方ひとつとっても、「ノシノシ歩き」と揶揄される始末。
 前向きというよりは、前のめりで闇雲な行動パターンがお決まり。
 でも、ぎりぎりのところで「自分」を見失わないのがこの愛すべき主人公、フランシスの大いなる強味であります。

 奇妙なタイトルの種明かしはラストシーンにしっかり用意されているのですが、同時に彼女の未来を予見させる仕掛けにもなっております。
 エンドロールで再び流れる"Modern Love"。
 訳詞を踏まえてみると、世の中にはびこる既成概念や体制への追従姿勢を否定的に歌っているとわかるこの曲がテーマに選ばれた理由も、ここにきて合点がいくと思うのですが。
 
 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

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 ”好きな映画がロードショー公開された季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「アメリカン・グラフィティ」。
 44年前の1973年8月11日に公開されました。

1962年、カリフォルニア北部の小さな田舎町。ハイスクールを卒業し大学のある東部への出発を明朝に控えた、スティーヴとカートは故郷での最後の夜を楽しく過ごそうと、テリーとビッグ・ジョンを誘い町に繰り出す。暴走族の仲間に入らされたり、酒を買おうと四苦八苦したり、マセた女の子にせまられたりという数々のエピソードが、当時のヒット・ナンバーに乗せて軽やかに描かれるが、やがてそれぞれの決意を秘めた朝がやって来る……。(allcinemaより抜粋)

 その時代のヒット曲を散りばめて青春群像を描くという手法は、今では珍しくありませんせんが、本作公開当時は画期的な演出であり、現在に至るまで多くのフォロワームービーが制作されたわけですが、この一夜もののバイブル「アメグラ」を凌駕する作品は未だ見当たりません。
 しかも挿入曲は、実在した伝説的DJ、ウルフマン・ジャック(本人役で出演)の名調子とともに、登場人物たちが運転する車のカーラジオから流れてくる設定がとられているので、たとえば、車内から街中に移動するカメラワークとともに、曲の聞こえ方もそれに連れて変化します。
 この音響泣かせの凝った演出のおかげで、観客は知らず知らずのうちにこの一夜の物語に自分も足を踏み入れたような感覚に陥いるわけであります。

 古き良き時代のアメリカ文化を垣間見るという意味でも、この映画は、ビデオを駆使して隅から隅まで舐めるように観た記憶があります。
 国も時節もまったく無関係なのに、いつの間にやらこの映画を観ると、ある種のノスタルジーがよみがえってくるまでになってしまいまして。
 
 ちなみに、主要キャストの一人で町一番の走り屋、ジョン・ミルナーは白の半袖ヘインズを着ているのですが、キャメルの煙草を袖先にくるりと巻き込んで携帯しております。
 店主もそうでしたが、へインズにキャメルをずばりまねた人も世界中に相当数いたでしょうね。

 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

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 通常、店主が好きな映画をその映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することが決め事なのですが、そこまで店主も待てないということで今夜のアルック座はおきて破り。
 アカデミー賞授賞式での作品名読み違いパプ二ングの記憶も新しい「ラ・ラ・ランド」をお送りいたします。
 昨年12月9日に全米公開されました。

舞台はロスアンゼルス。高速道路は朝の大渋滞となっており、多くのドライバーが苛つきからクラクションを鳴らしている。渋滞の中に巻き込まれていたミア(エマ・ストーン)は女優の卵で、車中で台詞を覚えようとするが、後続車を運転していたセブ(ライアン・ゴズリング)に煽られて悪態をつく。ハリウッドにある撮影所でカフェ店員として働きつつ夢を追うミアだが、オーディションの結果は散々で、一向に役はもらえない。一方のセブはジャズピアニストで、歴史ある店が売れないジャズを諦める現状を嘆き、古き良きジャズを愛でる自分の店を開く夢を持つが、実際には姉ローラ(ローズマリー・デウィット)にも身を固めるよう諭される始末である。ある日例によってオーディションに落ちたミアは、ルームメイトの3人に誘われ、クリスマス・パーティに参加することになる。顔を売るための出席だったが思うようには行かず、挙げ句車がレッカーされてしまったミアは、夜道を歩いて帰路につく。通りかかったバーから偶然聞こえてきた音楽に惹かれてレストランへ入る。音の主は高速道路で煽ってきたセブで、ミアは曲に感激して声を掛けようとするが、契約通りの曲を弾かなかったことで解雇されたセブは、彼女を邪険に扱って店を出る...(ウィキペディアより抜粋)


 今年2月のある日、店主はブルックリンのとある街を歩いておりました。

 たまたま通りかかった映画館の上映予定ボードを目にすると何やら記憶にある作品名が。

 それが、NYを訪れる直前東京で聴いた渋谷陽一大先生(店主をロックにのめり込ませた張本人)のラジオ番組で取り上げていた「ラ・ラ・ランド」でした。

 その情報によると、その映画は今どき珍しくミュージカルであるということ。

 監督は3部門でオスカーを受賞した「セッション」のデミアン・チャゼルであるということ。


 確かこの監督って若かったよなぁ(今年31歳)。

 そもそも、かび臭い印象のミュージカル映画が何故に大ヒットを飛ばしているのだろうか。

 若き才能と古き映画ジャンルのギャップに店主は混乱しながらも、帰国前日の夜、この映画館の扉を押したのでした。


 後から聞けば、チャゼル監督が大学在学中から温めていた作品だといいます。

 ミュージカル映画の根幹を成す音楽担当は、同級生だったジャスティン・ハーウィッツ。

 このハーバードコンビがすごいのは、敬遠される可能性が高い現代ミュージカルである本作の出資を勝ち得るために、商業的成功が得やすいとみた「セッション」の制作を先行したことです。

 ご承知の通り「セッション」は大評判となり、「ラ・ラ・ランド」への出資の約束手形となりました。

 ノスタルジックなミュージカル映画のスタイルをとりながら、観客が自分の人生を重ねやすいありがちなラブストーリーを描いてみせる。

 誰も想像しなかった素晴らしきミュージカル映画がこうして陽の目をみたことは、トム・ハンクスの言葉を借りればまさに「神に感謝」したいという最大級の賛辞を店主にしても贈りたくなってしまうのであります。


 いつものように夜7時くらいからスタート。

 お楽しみに。


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 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、ジム・ジャームッシュ監督の「ブロークン・フラワーズ」。
 12年前の2005年8月5日(米)に公開されました。

主人公の中年男性、ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)はコンピューター・ビジネスでひと山当てて悠々自適の生活のはずだが、無気力な生活ぶりがたたって恋人シェリーに去られてしまう。そんなある日、ドンは匿名の手紙を受け取る。手紙は彼の元ガールフレンドからで、彼には19歳になる息子がいると書いてあった。元ガールフレンドと言っても名前がなく、誰なのか分からず、その手紙に対してどうする気も持っていなかったドンだが、隣人のウィンストン(ジェフリー・ライト)の熱心な勧めにより、可能性のある4人の女性を訪ねることにする。(ウィキペディアより)

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