ビッグ・ウェンディ

 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ビッグ・ウェンズディ」。
 39年前の5月1日に公開されました。

 
 1960年代初め、カリフォルニアの海辺の町で、マット、ジャック、リロイを中心とする若者たちで作るサーフィン・グループは、水曜日にやって来るという世界最大の波“ビッグ・ウェンズデー”に挑戦することを夢見ていた。
 そんな頃、彼らにもベトナム戦争の徴兵令状がきた。グループの大半が懲兵を免れようとしている中で、優等生だったジャックは懲兵検査を受けて、ベトナムへと出征していった。
  ベトナム戦争が終わった1970年代の半ば、彼らが待ちに待った、“ビッグ・ウェンズデー”の日がやってきた。ジャック、リロイ、マットの3人は再会を喜び、サーフボードに乗って“ビッグ・ウェンズデー”に向かっていったのだった。(ウィキペディアより)


 タイトルバックに映し出されるモノクロ写真の数々。それは、波をつかまえてばっちりポーズを決めてるサーファーだったり、ビーチに集う若者たちの平和なひとときだったりするのですが、一番最後に一人の若いサーファーの顔が映ります。
 その挑むような目つきのいかつい顔の若者こそ、本作監督ジョン・ミリアスその人です。
 南カリフォルニア、マリブ育ちの彼は、生粋のサーファーとして青春時代を過ごしており、本作はその頃の体験が下敷きになっているとのことなので、この若き日のポートレイトは、「ビッグ・ウェンズディ」が彼の半自伝的映画であることの意思表明ともとれます。

 青春映画の定石として、若さを持て余して奔放に行動する若者たちを描く一方で、彼らを温かく見守る大人の視線を用意しておくということがあります。
 たとえば、「アメリカン・グラフィティ」で、大学進学を躊躇しているリチャード・ドレイファスに人生の道を示唆するDJウルフマン・ジャック(本人役で出演)であったり、「ダイナー」で、万事休すと思われたミッキー・ロークの借金の肩代わりをする人情味厚いベーグルというおじさんであったり。
 本作における、そういう役回りが、マットたちの尊敬を集める元サーファーでシェイパーのベアーという人物。
 ちなみに、主役のマットのモデルになっているのは、ジョン・ミリアスの一つ年上でマリブの帝王と謳われたサーファー、ランス・カーソンであり、このランスのサーフスタイルに影響を与えたのが、マリブの伝説的サーフショップ「べルジー&ジェイコブス」のシェイパー、デイル・ベルジーとハップ・ジェイコブス。お判りでしょうが、この2人のレジェンド・シェイパーがベアーのモデルであります。
 本作の主要な登場人物の人間関係は、現実とリンクしているというわけですね。
 

 「ビッグ・ウェンズディ」がハリウッド製の薄っぺらいサーフィン映画に陥らなかったのは、ジョン・ミリアスという監督の個性にほかなりません。
 あのいかつい顔からは想像しがたいのですが、本人曰く、かなりのロマンチスト。
 その証拠に、本作は、男と男、そして男と女の「永遠に続かない故に美しい青春」が実に思い入れたっぷりに描かれていて、そんな感傷に浸りたい向きにはたまらない名シーンがてんこ盛りであります。
 そして本作最大の見せ場である、ロングボードの名手を一堂に集めて撮られたサーフシーンがやはり見事で、マットたちが伝説の水曜日の大波に挑むハワイロケのクライマックスは、今でも語り草のド迫力です。

 実はこの場面、15フィート超の大波にテイクオフをするジョン・ミリアスがちゃっかり映っています。
 まさに、ハリウッドきってのサーフ狂、面目躍如のスーパーエキストラでありました。

 いつものように夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。

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