冒険者たち

 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「冒険者たち」。
 50年前の4月12日に公開されました。

レーシングエンジンの開発に取り組む中年の自動車技師ローランと、その友人で、若くハンサムなパイロットのマヌー、そして、ある日ローランの工房に廃材探しにやってきた駆け出しの前衛彫刻家レティシア。それぞれの夢を持った三人は、その実現のために互いに支え合い、絆を深めていく。

しかし、やがて彼らの前に厳しい現実が訪れる。マヌーは所属する飛行クラブの会員から請け負った映画会社の仕事──凱旋門の下を飛行機でくぐり抜け、それを撮影するというもの──に挑むが失敗。そのうえ危険飛行のペナルティとしてパイロットライセンスをはく奪されてしまう。一方ローランは完成したエンジンを車に搭載し、自らテストドライブを行うが、走行中に異常が発生してエンジンは爆発。そしてレティシアも、工面してようやく開いた個展の内容を批評家たちに酷評され、成功の道を閉ざされる。

傷心の三人は一攫千金を狙って一路コンゴの海に向かう。そこには数年前のコンゴ動乱の際に国外脱出を図って墜落した飛行機が、莫大な財宝を積んだまま沈んでいるというのだ──。(ウィキペディアより抜粋)


 少し前のアカデミー賞授賞式に、プレゼンターで登場していたシドニー・ポワチエ。
 実は、黒人俳優として初めてオスカーを獲った彼の愛妻が、本作で、アラン・ドロン、リノ・バンチェラとの淡い三角関係に揺れるレティシアを演じたジョアンナ・シムカスであります。

 やはり、男性2人女性1人というキャラクタ―設定をとっているリュック・ベッソン監督の「グラン・ブルー」が、本作から多大なる影響を受けて撮られたというのは、周知のこと。
 ただ、「グラン・ブルー」のロザンナ・アークエットも、飾らない魅力をスクリーンに大いに発散してはおりますが、キャリア絶頂で銀幕を去り、時代を象徴するかのような”レティシア”の残像を映画ファンの心に焼き付けたジョアンナ・シムカスとは比にならないという口の悪い人もいます。
 本作における彼女の美しさは確かに圧倒的でありますが、当時の仏映画界を代表するいい男っぷりの二人に惚れられる役どころなわけですから、ヒロイン創りには、監督ロベール・アンリコもかなり注力したことは想像に難くないわけで。
 少々ややこしいですが、「グラン・ブルー」でロザンナ・アークエットが演じたニューヨークで働く保険調査員の役名はジョアンナ。
 こんなところにも、ベッソン監督の「冒険者たち」への思い入れが見え隠れします。

 映画を忘れがたいものにする要素として音楽は重要ですが、ベッソン作品がエリック・セラの音楽抜きで語れないように、フランソワ・ド・ルーペのスコアも本作に大いに貢献しております。
 たとえば、タイトルバックにいきなり流れるテーマ曲。これがなんとも不可思議な構成の曲で、ピアノとオケのスリリングでアップビートな部分と、口笛が奏でるリリカルでダウンビートな部分が交互に顔をのぞかせます。
 正確にはテンポは変化していないのにもかかわらず、まったく異質な印象のパートが同一線上に完璧に連なっているのです。
 3人が宝探しに出かけるコンゴの美しい海の情景、海に浮かぶ城塞島で繰り広げられる緊張の銃撃戦などなど。同じ映画とは思えないほど、シークエンスによって、がらりと変わる空気感。
 本作の魅力は、そういった異質なシークエンスが淡々と連なって出来上がっているところでもあり、冒頭の例のテーマ曲は、そういった穏やかな波乱を予感させるものがあります。

 ナポレオンが造ったという城塞島全景を空撮で延々と映し出す有名なラストシーン。
 哀しくほろ苦い青春の墓標ともみえたこの島、フォール・ボワヤールは、近年、テレビ番組の宝探しゲームの舞台として使われているんだとか。
 それはそれで、少々哀しいものがあります。
 
 いつものように、夜7時くらいからスタート。
 お楽しみに。




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