かもめ食堂

 ”好きな映画がロードショー公開された月日に合わせて鑑賞することで当時の季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「かもめ食堂」。
 11年前の2006年3月11日に公開されました。

フィンランドのヘルシンキに“かもめ食堂”という小さな食堂をオープンした日本人女性サチエ。シンプルな“おにぎり”を看板メニューに、フィンランドの人にも日本食のおいしさを伝えたいと張り切るが、やって来たお客は日本のアニメが好きなおたく青年だけ。それでもめげずに淡々と営業を続けるサチエは、やがて訳ありな2人の日本人女性と出会うのだった...(allcinemaより抜粋)

 本作を観て、カフェ開業を志した方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
 ヘルシンキでオールロケされた本作は、作中ふんだんに散りばめられたデザイン強国フィンランドを代表的する家具、食器、衣装が話題を呼び、北欧大好き女子の熱狂的支持を獲得。シネスイッチ銀座の初日動員記録を更新するなどヒット作となりました。
 
 店主の場合、開業動機は学生時代まで遡るので、「かもめ」がきっかけというわけではないのですが、当店オープン前、屋号に苦慮していた店主が、苦肉の策でフィンランド語日本語辞典を手にして、Aの部から字面優先で探していって行き当たったのが「ARKKU」でした。
 この「ARKKU」、日本語で「箱」という意味になりますが、広義としては、おもちゃ箱からお棺まで、箱型形状の物全般にわたっている感じです。

 カフェがオープンしてしばらくしたある日、奥様がフィンランドの方だというご夫婦が来店されました。
 奥様曰く、母国で「ARKKU」というと、一般的に、お嫁入りの際に持参する大きな箱(冒険小説に出てきそうな宝箱のイメージでしょうか?)のことで、中には衣類やらベットリネンやらレース飾りを詰め、実家に余裕があるほど大きなものになるんだとか。
 ただ、習わし的にはなくなりつつあるようで、「ARKKU」自体は、居間や玄関のインテリアとして売られていることが多くなってるとのことでした。

 さて、「かもめ」の話に。
 登場人物たちの最後まで暴かれることのない背景、劇的展開のない展開。
 この映画が、ながら見向きとか、BGV代わりとかいわれてしまう所以なのでしょうが、映画の定石を取っ払ったからこそ守れたのが、「かもめ」全編に一貫して流れるゆったり感だともいえます。
 「かもめ」が観たくなるときは、あの異国の食堂にのんびり流れている時間に戻りたいとき。
 店主的には、いつの間にやら、そんな居心地のよさが享受できる「場所」みたいな映画になっておりました。

 いつものように夜7時からスタート。
 お楽しみに。

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