ラウンド・ミッドナイト

 ”好きな映画がロードショー公開された季節感を追体験してみたい”シリーズ!
 というわけで、今夜のアルック座は、「ラウンド・ミッドナイト」。
 30年前の1986年9月24日公開(フランス)されました。
 

パリを舞台に、ジャズ・ミュージシャンのデイル・ターナーと、デイルの音楽を愛しサポートする青年フランシスの友情を描く。実在のジャズ・ピアニスト、バド・パウエルがパリで活動していた時期の実話が元になっており、フランシスのモデルも実在のフランス人デザイナー。(ウィキペディアより)

 
 主役のデイルを演じたのは、当時63歳になるジャズサックス奏者、デクスター・ゴードン。
 本作を初めて観た後、とにかく驚きを禁じ得なかったのは、出演ジャズメンの演技達者ぶり。映画初出演でアカデミー主演男優賞にノミネートされたD・ゴードンはもちろん、エディ役のハービー・ハンコックなんかも実にそつがありません。
 刻々と変化する刹那に音をやり取りして音楽創造するジャズミュージシャンたちの感性は、「演じる」ことにも直感的な才を発揮するのでしょうね。

 
 でも、監督ベルトラン・タヴェルニエが、D・ゴードンを起用した理由はそれだけではないはずです。
 本作は、バド・パウエルの実際のエピソードを下敷きにしているわけですが、ドラッグ&アルコール依存症に悩まされ、本国アメリカにおけるいわゆるジャズ不況もあって、60年代初頭に新しい環境を求めて渡欧したのは、D・ゴードンもまた同様でありました。至極当然主人公デイルが、彼自身に重なってみえてきてしまいます。
 彼の代表作「アワ・マン・イン・パリ」は、1963年にタイトル通りパリで録音されたものですが、因縁めいてるのは、ピアノで共演しているのがB・パウエルその人ですし、D・ゴードンという人物は、当時のパリの空気感、渡欧組ジャズメンの人間関係をよく知る正に生き証人だったといえましょう。
 多分に、彼という存在がなければ、本作の成立はなかったかもしれません。

 出演から4年後、D・ゴードンは、敬愛する先人たち、互いに刺激し合った同僚プレイヤーたちが待つ天上のステージへと旅立ちました。 

 舞台は1959年のパリ、音楽はジャズ、ジャズ、そしてジャズ。
 愛すべき「ノッポさん」デクスター・ゴードンの枯れた名演技、そして言わずもがなの名演奏にゆたっり浸ってください。

 いつものように、夜7時くらいからスタートです。
 お楽しみに。

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