チェルシーホテル

 昨年のNY滞在時には、マンハッタンのチェルシー地区に宿をとりました。
 店主の泊まったホテルは狭いことこの上ない寝台車のような安宿でありましたが、ここチェルシーには、多くの著名人が好んで生活の場とした伝説的なホテルが現存しております。
 その名も、チェルシーホテル。
 宿泊者名簿(当時は長期滞在者専用ホテル)には、ボブ・ディラン、ジャニス・ジョプリン、トム・ウェイツ、パティ・スミス、イギー・ポップなどのミュージシャンをはじめ、チャール・ブコウスキー、アーサー・C・クラーク、アーサー・ミラー、アレン・ギンズバーグなどといったアメリカ文壇を代表する作家も名を連ねます。
 たとえば、ビート文学の旗手ギンズバーグは、一時期ディランのライブのゲストとして詩の朗読を行っておりました。こんな二人のコラボレーションも、このホテルで繰り広げられた異分野の交流がきっかけだったのでしょう。
 だいたいが、本名ロバート・アレン・ツィンマーマンであるディランがその名を名乗るようになったのも、放浪の詩人ディラン・トーマスに憧れていたからだといいます。そのディラン・トーマスは、1953年チェルシーホテル滞在中に過度の飲酒が原因で還らぬ人となりました。
 ボブ・ディランがここを住処としたのも、ホテルとカリスマ詩人との因縁を思ったからかもしれません。

 1978年、そんなチェルシーホテルの歴史に影を落とす大事件が起きました。
 100号室に住んでいたナンシー・スパンゲンが刺殺体で発見され、同居人のシド・ヴィシャスが犯人とされ逮捕されたあの有名スキャンダルです。
 4ヶ月後、保釈中のシドのヘロイン過剰摂取による死去によって、真相は闇の中に放り込まれたわけですが、ホテル側はその後パンクスの巡礼地と化してしまったことに辟易し、当の部屋をランドリールームに改造してしまいました。
 
 数々の来歴に彩られたこのチェルシーホテルを舞台にして映画を撮った監督がいます。
 それもあの、俳優のイーサン・ホーク。
 彼の監督デビュー作とのことですが、正直まるっきり印象に残っておりません。
 ネット上でも、ほとんど評価の対象に上がっていない本作。イーサン・ホークが監督をやらなかったら、ひょっとしたら世に出ていなかった代物かも。
 
 前置きが長くなりましたが、今夜のアルック座はこのイーサン・ホーク監督作品「チェルシーホテル(原題: Chelsea Walls)」であります。

ニューヨーク・マンハッタンにあるチェルシーホテル。アンディ・ウォーホルが映画を撮り、ウィリアム・バロウズやアーサー・C・クラークが名著を物した場所である。ボブ・ディランが曲をつくり、メイプルソープとパティ・スミスが出会った、そんな伝説のホテルは今も成功を夢見るアーティストたちが集う場所だった。ナイーヴなミュージシャンのテリーと陽気なロス。酒浸りの熟年作家バドと妻グレタ、そして愛人のマリー。ベテランのクラブ歌手スキニー・ボーンズ。彼らは自らの夢の大きさに押し潰されそうになりながらも、希望を頼りに前へと進もうともがくのだったが……。(allcinemaより抜粋)


 冒険といえる作品選択かもしれません。
 しかも、店主自身初見です。
 ニューヨークの面影を振るい切れない店主のいつもの独断とお許しくださいませ。

 いつものように夜7時からスタートです。
  
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