24アワー・パーティ・ピープル

 今夜のアルック座は、「24アワー・パーティ・ピープル」。
 2007年8月10日に亡くなったトニー・ウィルソンを主人公にした実話を映画化したものです。
 ところで、このトニー・ウィルソンってどんな人物?
 

不況の嵐が吹き荒れる1976年6月4日、マンチェスターのレッサー・フリー・トレイド・ホールで行われたセックス・ピストルズのライヴ。観客はわずか42人、その中には後にシンプリー・レッドを結成するミック・ハックネル、ジョイ・ディビジョンとなるワルシャワのメンバー、バズ・コックスのメンバーとなるハワード・ディヴォード、ザ・スミスのメンバーとなるモリッシー、ニュース・キャスターでありファクトリー・レコードの創始者トニー・ウィルソンがいた。物語はウィルソンと4人の若者によるサクセス・ストーリー。俳優のアラン・イラズマス、マネージャーのロブ・グレイトン、プロデュ−サーのマーティン・ハネット、そして後にニュー・オーダーなどファクトリー所属アーティストのアルバムジャケットなどを手掛けるようになるピーター・サヴィル。そして、ウィルソンが創設したファクトリー・レコードから生まれた音楽、ファクトリー・レコードが手掛けた大型クラブ「ハシエンダ」がひとつのムーヴメント、時代、伝説を築き上げていく。(ウィキペディアより)


 トニー・ウィルソンは、ファクトリー・レコードのオーナーであり、中心人物であったわけですが、彼のパンク精神に裏打ちされたファクトリーの経営方針は、旧来のレーベル運営の常識からは大きく逸脱したものでありました。
 たとえば、制作活動支援のために、アーティスト側に破格に有利な契約・版権システムを与えたり、作品の芸術性を高めるためだったら製作費に糸目をつけない等々。(結局、この掲げた旗印が仇となって、ファクトリーは倒産の憂目にあうわけですが...) 
 また、リリース作品にカタログ番号を通しで記していく試みも当時画期的で、ユニークなのは、カタログ番号が音楽作品以外にも与えられていたこと。
 FAC 61=マーティン・ハネットがファクトリーに対し起こした訴訟、FAC 136=オリジナルセロハンテープ、FAC 191=ハシエンダにいた猫、FAC 251=ファクトリー本社社屋、FAC 383=ニュー・オーダーの熱狂的ファン集団、等々といった具合であります。(今夜の映画「24アワー・パーティ・ピープル」には、FAC 401が付記!)ちなみに、記念すべきFAC 1は、レーベル所属アーティストが出演するクラブイベント用ポスターに付けられました。当店開業以来、壁を飾る黄色と黒色が印象的な大きなポスターは、このFAC 1のデザインをシルクスクリーンで限定プリントしたものであります。

 昨年、ファクトリー創世記からの所属アーティストであったドゥルッティ・コラム(ギタリスト、ヴィニ・ライリーによる一人プロジェクト)の最新アルバムが発表されました。
 ファクトリーからリリースされたドゥルッティ・コラムの1stアルバムの初回プレス盤ジャケットはなんと紙やすり製!棚から出し入れする度に両隣のアルバムが傷だらけになってしまうという究極の「包装」だったわけです。最新CDは化粧箱入りになっていて、ヴィニが撮影した友人たちのポートレート写真を掲載したブックレットが同梱。さらにヴィニが暮らしていた街の地図のポストカード、ピンバッジ、そしてボーナストラックのダウンロード・コードが印刷された一枚のサンドペーパーが。
 当時からのファンは、1stアルバムへのオマージュであるとピンときたでしょうね。ドラマーとして参加したブルース・ミッチェルが、この最新アルバムにコメントを寄せています。 
 
 『このアルバムの始まりは、友人たちの肖像を音楽で描いた作品群をヴィニが撮影したポートレイト写真と一緒にアルバム化するという企画でした。エルガーやバッハ、ヴィヴァルディといった作曲家たちは友人たちを音楽で描いたロマンチックな作品を残しています。ヴィニ・ライリーなら同じことができるはずだ。私はそう考えたのです。また音楽と写真を一緒にパッケージングしてちょっとした「アート作品」を世に出す良い機会だとも考えました。そうです。結局のところ、私たちは今もトニー・ウィルソンの子供たちなんです。』

 トニー・ウィルソンの墓石は、ファクトリー・レコードのアート・ディレクションを仕切ったデザイナー、ピーター・サヴィルがデザインしたそうです。
 ところで、この墓石には例のファクトリーのカタログ番号は記されていません。ファクトリーの終焉を告げる最後のカタログ番号は、トニーの棺に刻印されたという、FAC 501になったわけです。
 癌との闘病を続けた後、心臓発作で亡くなったトニーの墓誌には「テレビ司会者・カルチャーにおける変化の提起者」、また、墓碑銘には、マンチェスターの作家、イザベラ・ヴァーリー・バンクスの1876年の小説「マンチェスター・マン」からの一文が標されております。

 「変異の可能性こそが世界の墓碑銘となる/変化のみでは変化は変化とはならず/人は人生という歴史から抜け落ちてやがては土の歴史へと埋もれていく/しかしながら、人の業績とその影響は生き続ける」

 「24アワー・パーティ・ピープル」
 夜8時くらいからスタートです。

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